本棚No3「思考の整理学」

 大阪に出たら大抵は書店を覘く。先日は『50代から始める知的生活術「人生二毛作」の生き方』(だいわ文庫)の“50代”と“人生二毛作”が目に留まり、著者にもつられて買った。著者はベストセラー「思考の整理学」の外山滋比古である。20年以上前に読んだことがあり、書棚を探すとなんと2冊も出てきた。早速取り出して読み返すと目からウロコの部分が多々あり、現在も全く色あせない内容に驚かされる。

 冒頭部分のグライダーの話から引き込まれる。学校はグライダーの養成所で飛行機にはなれない。自分でいろいろ経験し考えることが、自力で飛べる飛行機へと成長する。
この“考える”について、情報に向き合い料理する視点から「寝かせる」「醗酵させる」「エディターシップ」「触媒」「アナロジー」など、情報爆発の中でどのように対応すべきかが生き生きと述べられている。

 また“考える”時の心構えとして、「睡眠」「忘却の大切さ」(思考の整理とはいかにうまく忘れるか)「すてる」「とにかく書いてみる」「ほめる」など、現在様々なノウハウ本に書かれている「思考の整理方法」がそのまま30年以上も前に述べられている。

 さらに思考を活性化させる視点として、「しゃべる」「第一次的現実」(思考のシステム化)「既知・未知」(知るだけの読み方と未知の解釈の読み方、古典の重要性など)「拡散と収斂」(学校の教育は思考が収斂的で個性は発散的)など現代にこそ必要なエッセンスが多々述べられている。

 圧巻は最終章の「コンピューター」である。『コンピューターがあらわれて、これからの人間はどう変化していくであろうか。それを洞察するのは人間でなくてはできない。これこそまさに創造的思考である。』と結論づけている。80年代は第2次人工知能ブームの時期であり、コンピューターによる情報化が活発な時期であった。現在の第3次人工知能ブームでは囲碁でも機械が人間を打ち破る時代にあり、この本はまさに「考える事を考えさせてくれる」1冊である。

 30年以上も前でさすがにやや時代遅れの感のある部分も見られた。情報をカードで整理するくだりである。当時と比べて携帯性の高いスマートフォンやノートパソコンが一般化した中では紙ベースはやや物足りない。
                                  (M)

参考図書)内容は機会があればご紹介したい。
 外山滋比古(2015年)「50代から始める知的生活術「人生二毛作」の生き方」
                                (だいわ文庫)

2016年04月07日|分類:本棚