住宅リフォームの定義 市場規模はどこまでいれる?

 弊社では、住宅リフォームの市場規模について過去何度か推計調査を実施したことがある。その際頭を悩ますのがどこまでを住宅リフォームとするのか、その範疇と定義である。個人住宅(マンションの大規模修繕や賃貸住宅のリフォームなどを除いた自己所有かつ自己居住分)を見た場合、一般にアンケート調査ではどう扱っているのか。

 国土交通省が実施予定のH28年度住宅市場動向調査の質問票を見ると、次のように
「A工事の種類」「B.工事の内容」「C.工事の部位」から定義できる。

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 A.住宅リフォーム工事の種類(単一選択:1年間に実施される種類は1つと想定)
  (1)増築 
      住宅の床面積を増加させる工事
  (2)改築
      住宅の一部を取り壊して改めて住宅部分を建築する工事
      (ただし、新たに建築した部分の面積が、取り壊した部分の面積を超えない工事)
  (3)模様替えなど(改装等などとする場合もある)
      内装の模様替え、屋根のふき替え、間取りの変更、設備の改善など
      床面積を増加させたり住宅の一部を取り壊したりせずに行う工事
 B.リフォームの工事内容
  (1)内装の模様替えなど(壁紙、天井、床の張り替えなど)
  (2)壁の位置を変更するなど、間取りの変更
  (3)住宅外(屋根のふき替え、屋根・外壁の塗り替え等)
  (4)住宅内の設備の改善・変更
      設備の改善・変更を行なった内容
       1)収納スペースの改善・増加
       2)窓・扉などの建具の取り替え
       3)台所・便所・浴室等の設備を改善
       4)防犯・安全設備を設置
  (5)住宅の構造に関する改善・変更
      構造に関する改善・変更を行った内容
       1)断熱工事、結露防止工事等を行った
       2)基礎・構造の補強を行った
       3)防音・遮音工事を行った
       4)耐震改修工事を行った
  (6)冷暖房設備等の変更
      冷暖房設備等の変更の内容
       1)冷暖房設備を改善・設置した
       2)太陽光発電や太陽熱温水器の設置
       3)電気温水器の設置
       4)給排水管の修理や交換を行った
  (7)高齢者等に配慮し、段差をとる、手すりをつけるなど
  (8)その他 (ex.シックハウス対策等)
 C.リフォームの部位
     1)すべての部屋  7)主寝室   13)外壁
     2)居間      8)子供部屋  14)給湯器
     3)キッチン    9)和室    15)門・へい
     4)ダイニング   10)玄関   16)車庫・物置
     5)浴室      11)収納   17)高齢者居室
     6)トイレ     12)屋根   18)その他
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住宅リフォームの範疇をほぼ網羅できているようだが、「カーテンや襖の張り替え」、「水栓金具などの取り替え」、「家電店などで購入したエアコンの取り替え」などはどうなるのであろうか。自分で実施するDIYを除いて工事を外部に依頼した場合はリフォームとして取り扱った方がよいのではなかろうか。また同じ敷地内に完全に別棟として世帯用の住宅を建築した場合は新築となるが、物置や離れなど別室を増築した場合はリフォームとした方がよいのではなかろうか。
建築業者、リフォーム専門店、インテリア業者、家電店などによりその定義はかなり違ってくる。

主な調査研究機関(矢野経済研究所)やリフォーム関連団体(財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センター)から毎年リリースされているデータを見ると、次のようにほぼ7兆円で推移している。

詳細は明らかでないがそれぞれの住宅リフォームの範囲や集計対象を見ると、

<財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センター>
  「広義のリフォーム市場規模」は住宅着工統計上「新設住宅」に計上される増築・改築工事と、
  エアコンや家具等のリフォームに関連する耐久消費財、インテリア商品の購入費を含めた金額。
  市場規模は「建築着工統計年報」(国土交通省)、「家計調査年報」(総務省)、「全国人口・
  世帯数・人口動態表」(総務省)等による推計。
  分譲マンションの大規模修繕等、共用部分のリフォーム、賃貸住宅所有者による賃貸住宅の
  リフォーム、外構等のエクステリア工事は含まれていない。

<矢野経済研究所>
  「10 m2 超の増改築工事」・「10 m2 以下の増改築工事」・「設備修繕・維持関連」・
  「家具・インテリア等」の4 分野で構成。
  国土交通省「建築着工統計」、総務省「家計調査年報」、総務省「住民基本台帳」、
  国立社会保障・人口問題研究所「日本の世帯数の将来推計(全国推計)」をもとに推計

となっている。「矢野経済研究所」は「住宅リフォーム・紛争処理支援センター」の広義と狭義の市場規模の間で推移しており、狭義のリフォームに対してエクステリア・外構部分の算入分がやや多いと思われる。

 時系列で得られ信頼度も高いデータに「建築着工統計」や「家計調査年報」があるが、金額のみでしか把握できない。件数の把握は別のデータを利用する必要があるがかなり煩雑で、前述のリフォームの範囲をどこまでと定義するかで大きく変わってくる。こうしたマーケットサイズを集計する場合には、それぞれの業界(住宅建築、水回りリフォーム、インテリアなど)にふさわしい住宅リフォームの範囲を明確にした上で集計分析することが求められる。

2016年09月30日